「外来生物対策シンポジウム」にDr.Sandro Bertolinoさんが来ます!
                                           (川道美枝子)
  サンドロさんとは2006年3月、インドで開催されたリス会議でお会いしました。イタリアでは、北米原産のハイイロリスが野生化し、在来のリスを駆逐しながらアルプスの麓まで達する勢いで分布拡大を続けています。またタイワンリスと同属のリスも野生化しており、深刻な問題になっています。サンドロさんはイタリアのUniversityof Turin DIVAPRA Entomology &Zoologyでこれらの外来リス問題について、分布の拡大状況、在来リスとの置き換わりの現状、拡大予測モデルなど様々な角度から研究を続けています。ハイイロリスは、はじめイタリアの公園で放し飼いにされ、市民に親しまれていたのですが、突然分布を拡大しはじめました。影響を心配した当局はこれらのハイイロリスの捕獲を試みたのですが、動物愛護団体の反対運動、特に訴訟により、3年間捕獲ができない状態が続き、その間にハイイロリスは拡大を続けました。

 サンドロさんはリス会議でPredictionof the grey squirrel Sciurus carolinensis spread from Italyinto adjacent countriesという題名でP.Lurz, S.Rushtonさんと共同発表していました。この発表によれは最悪のシナリオの場合、30年でフランスにまでハイイロリスは侵入すると予測しています。ハイイロリスが侵入した場所では在来のredsquirrel(キタリス)が姿を消しています。またポスターセッションではModellingthe expansion of grey squirrels(Sciurus carolinensis) inLombardy, northern Italy: implications for grey squirrel control andred squirrel (S. vulgaris) conservationという題名でC.Tattoni, D. G. Preatoni, G. Tosi, A. Molinariらと共同で発表しています。

 これらのお話を日本でも紹介する機会があればと、リス会議の会場でサンドロさんに、来日をお願いし、快くお引き受けいただきました。

 イタリアのハイイロリス問題は明日の日本でも起こることかもしれません。リス好きの皆様、本当の意味でリスたちの保全を考えるために、サンドロさんのお話を聞きにシンポジウムにご参加下さい。通訳としてリムネット会員の川道武男も登場します。

 左のハイイロリスの写真は1996年にカナダ、モントリオールで撮影しました。公園のアスファルト道路にたくさんのハイイロリスが出現し、その数と人慣れした様子に驚きました。

シンポジウムプログラム

   「平成18年度地球環境市民大学校 外来生物対策シンポジウム」のご案内

        「外来生物の現場から〜外来生物と市民の活動」

外来生物法の施行に伴い、ブラックバスやアライグマ、アレチウリなど各地で取り組みがなされるようになってきました。しかし、外来生物問題は解決に向かっているのでしょうか?!ヨーロッパでは対策が遅れ、ハイイロリスの問題が拡大、深刻化......!! 子供たちに人気の外国産クワガタの野生化による影響は......?! 対策のために、私たち市民が出来ることについて考えましょう。

  主催:独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金
  日時:2006年12月16日(土曜日) 12:30−17:00
  場所:中央大学 後楽園キャンパス 5534教室
      東京都文京区春日1−13−27
     http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/access/access_korakuen_j.html
     当日連絡先 090−6076−7655
  参加費無料:12月14日までにお申し込み下さい。
  「参加希望」と書き、お名前、所属、連絡先を書いて、メール、fax、またはお電話で)
  問い合わせ/申し込み先:企画運営団体 生物多様性JAPAN
     電話/FAX 075−551−3936 e-mailchipmunk@h5.dion.ne.jp

プログラム  総合司会 竹下信雄氏(生物多様性JAPAN)

第1部 基調講演

 「外来クワガタ・カブトの脅威〜輸入ペット昆虫ブームに市民はどう取り組むべきか?〜」
      荒谷 邦雄氏(九州大学大学院比較社会文化研究院)

 「ヨーロッパで拡大するハイイロリス・なぜ拡大を止められなかったか」
     SandroBertolino氏(University of Turin DIVAPRA Entomology &    Zoology)                          (通訳 川道武男氏)
       Bertolino氏の講演要旨

 第2部 事例報告:外来生物対策・市民の活動(発表各20分)

 「社員でアレチウリ駆除に取り組む」
   畑 典之氏(シナノケンシ株式会社・広報宣伝チーム/環境管理責任者)

 「地域の水生生物保全と外来魚防除」
   小林 光氏(全国ブラックバス防除市民ネットワーク・事務局長)

 「都市河川におけるカメ類の棲息状況と外来種の問題〜大阪茨木市・摂津市を流れる大正川での取り組み〜」 
   西堀 智子氏(和亀保護の会・代表)

 上記の他2題の発表があります。
     「小笠原の外来生物に取り組む市民の活動」
     「市民と自治体の協働作戦 アライグマ対策」 

第3部 パネルディスカッション
       座長 小林 光氏  「外来生物対策へ市民ができること」


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