第7回国際樹上棲リス会議がフィンランドで開催されました!
  第7回国際樹上棲リス会議 6th International Colloquium on Arboreal Squirrelsが、2015年6月に、フィンランドで開かれました。

 この国際会議は、3年毎に開かれます。第1回の1994年米国で始まり、その後、イギリス、インド、カナダ、そして前回は日本・京都で開かれました。初期は昼行性のリスだけでしたが、後に夜行性の滑空性の仲間を加えて、リス科の樹上棲の種を対象としています。発表内容は、生態学、行動学、生理学、野生動物管理学、系統学、種間関係、林学および森林管理との関係、進化生物学を含む全ての生物学領域を対象としています。
前回の京都会議実行委員長であり、リムネの事務局長でもある川道武男氏より、7ICASのリポートが届きましたのでご紹介いたします。

7回樹上棲リス国際会議(2015年6月1−5日於ヘルシンキ、フィンランド)
(写真撮影:川道美枝子)

7th International Colloquium on Arboreal Squirrels (1-5 June 2015 at Helsinki, Finland Photographs by Mieko Kawamichi 

7回になる樹上棲リス会議 (略称7ICAS)は、フィンランドの首都ヘルシンキで開催された。6月初めのまだ肌寒い時期に、北半球の各地からリス研究者がヘルシンキ大学の自然史博物館へ集まった。参加者数は55人で、参加国は、日本、アメリカ、カナダ、ドイツ、イタリア、チェコ、エストニア、イギリス、アイルランド、インド、韓国、香港、フィンランドの13ヵ国であった。

日本からの参加は7人であった。大学院生は2人(帯広畜産大学の嶌本樹、北大の内田健太)、九州保健福祉大の正木美佳、森林総研の田村典子、関西野生生物研究所の川道武男と美枝子と、藤井友紀子であった。4人が口頭発表で、2人がポスター発表であった。

口頭発表は43個、ポスター発表は14個の発表があった。この会議はこじんまりした規模なので、口頭発表は一つの階段教室のみで行われ、朝から夕方まで次々と発表がなされた。いわゆる分科会に相当するセッションは、似通った発表テーマにまとめられる。午前の最初は全員出席の招待講演が1時間とってあり、直後に関連セッションが続く。口頭発表は各自15分と質疑応答が5分と定められているが、各自の発表時間を超えてもストップがかからない「伝統」がある。しかし、必ず1日のスケジュールに収まるところが不思議である。

ヨーロッパアカリス、タイリクモモンガ、アメリカアカリスが圧倒的に多かった。それ以外の種では、ムササビ、チョウセンシマリス、ガケシマリスが12個の発表であった。セッションには、プログラム順では、保護、リスの分布、侵入種、分散、行動と環境のモデル化、行動、気候変動、形態・遺伝・寄生虫、風景と郊外の生態学、以上の9セッションがあった。

大会のTシャツと要旨集。

植物園内で人なれしたアカリス。

会場になったヘルシンキ大学付属自然史博物館。中央は主催者のイルポ・ハンスキー氏

昼食は会場近くのホテルで、参加者がランチを楽しむ。右端は正木氏

川道武男が座長をしながら、議論をまとめる。

口頭発表風景。すべての口頭発表は、この階段教室で行われた。

ポスター発表の会場は骨格標本室であったが、やや暗いのが難点だった。

有史時代に人間により絶滅させられたステラ―海牛は、ベーリング海に生息していた。北方に適応したジュゴンの仲間で、体長が7mくらいあり、海藻を食べていた。

 

大会の中日はエクスカーション。リス仲間での会話がはずむ。

数時間バスに乗って、目的地に到着。小雨が降ったり止んだりする。リス模様の傘が目立つ。発表者もリスのTシャツを着る。

 

目的地で、小雨の中でまず昼食をとる。

原生林を行く。森林だらけの国なのに、原生林がわずかとは意外であった。

 

倒木の上にあったアカリスの食痕。巨大なエビフライ(中央)と大きな鱗片。

 

中央には湖があり、鳥の姿を観察する。

 

水辺にミツガシワが咲いていた。

 

ホストのセローネン氏(中央)が森林の説明をする。

 

小鳥の鳴き声に、姿を追う。ほとんどの参加者が双眼鏡や望遠カメラを持参していた。

 

かつて国全体が氷に覆われていたためか、針葉樹が高いためか、林床の植生は単純である。

 

近くに生物センターがあり、アカリスを観察。右端に藤井氏、左端に田村氏。

 

センターでの活動内容を聞く。宿泊施設もあり、大学院生が利用できる。

 

会場となったヘルシンキ大学付属の自然史博物館前で全員集合。

ヘルシンキ市の中央にある植物園で、サヨナラ・パーティに集まる参加者。

 

温室内で食事する。宴会とはほど遠い雰囲気である。

講演日のコーヒー・ブレイク風景。左から正木、嶌本、川道が談笑する。

 

講演が全て終わり、ボスのコプロフスキィ氏(左)が主催者のイルポ・ハンスキー氏をねぎらう。

 

左からミッチェル・スティール(米)、川道武男、イルポ・ハンスキー、ジョン・コプロフスキィ。

 

人に慣れたアカリス。本当に赤く、エゾリスと同種とは信じ難い。

道路を横切るアカリス。

 

ヘルシンキ郊外の観光島で、シジュウカラは人間の後を追いかけてきて、手にパンくずを乗せると、すぐに手に乗る。大会が無事終了し、ほっとした時間を過ごす。

終わり

                


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